DX時代の実験データベース
製造業の実験データベースにデータがたまらない、活用できない実験特有の理由。
生データを分類、計算して活用できるデータに変える
製品開発や基礎研究における実験、検証データは、製品や研究の実体を表すものであり、宝の山ともいわれています。実験データを活用するためには、データの蓄積/連携/集約/分析を支える基盤が必要です。本ブログでは、データの蓄積について記述します。
実験データ登録が進まない理由
「実験データベースにデータがたまらない」というお悩みを耳にします。データがたまらない原因の一つとして、「実験データを登録するためのしきいが高い」ことが考えられます。
一般的に工場のセンサーデータなど、世の中の多くのデータは、発生したデータをそのままデータベースに登録する事ができます。一方、実験データはデータ収集後にデータを解析して、きれいに整えた状態で登録したいものです。
そのような、背景で”最終結果”のみを登録できる実験データベースを作成した場合、データがなかなか蓄積されない場合があります。なぜなら、実験で取得した「生データ」をそのまま登録できないからです。ここでいう生データとは、実験後にできあがる最初のデータのことであり、計測器から出力されたファイルや現場の担当者が作成するExcelファイルなどが例として挙げられます。
蓄積できるが活用できない
一方、生データのみが蓄積されていても、そのままでは活用が難しい事も事実です。データに計算処理を実行したり、データを分類することで、何の特性を表すかを明確にすることで、多くのエンジニアが活用できるようになります。
これを表した例が、右の図です。自動車会社でのプロセスと成果物の関係が示されています。
機能要件に対して試験が計画され、データが得られます。それを後処理によって要件に必要 な形に変えていき、最終的には要件に対して特性データとドキュメントがセットで結びつきます。このように、要件と特性データ、ドキュメントの関係性をデータベースに持たせることで、データが活用できるようになります。
しかし、これを実現させるためにはいくつかの課題があります。一例として、実験データを登録する担当者と、上位のプロセスを担当するエンジニアが異なり、連携がうまくいかず、実験データベースに蓄積されないという事が考えられます。
ソリューション
このような課題を、当社は実験データベース(BRIX PVM)に下記の機能を持たせることによって解決しました。
・特性データ名がなくても、生データのままで登録できる機能を持たせる
・ 生データを特性ごとに分けて機能要件と結びつける機能を持たせる
・ 生データを元にして、それを編集したデータ(後処理データ)を登録できる機能を持たせる
・サードベンダー製の解析ソフトウェアやPythonなどのプログラムへデータを転送できる機能を持たせる
このような仕組みにすることで、後処理を待つことなく、実験担当者が作成した生データをそのまま取り込むことができます。その結果、実験データベースにデータがどんどん蓄積されていく流れを作ることができます。
システム要件とのひもづけや解析などの後処理は、後からできます。また、解析ソフトウェアとつながることで、解析後のデータも効率的に蓄積できるようになります。
参考資料、セミナー動画
本ブログは、当社の日本の自動車会社におけるプロジェクト経験を元に書かれています。より具体的な情報を知りたい方は、これらの参考資料を閲覧いただくか、お気軽に当社までご連絡ください。
要旨:
日本の大手自動車会社様向けに、パワートレインの機能部門をつなぐ実験データベースシステムを納入した際の事例。第3章は、本ブログ内容の詳細について書いています。
要旨:
日本の大手自動車メーカー様に納入実績があるPVMソリューションの紹介、及びデモ。
部品表や計画システムなど、様々なITシステムとつながり、部署と部署の横ぐしをさす実験データベース。
動画時間:30分