Neo4jに材料開発プロセスを蓄積、可視化!半導体製造プロセスの例。
背景
前回のブログでは、「Neo4jを使った制作物事例。プログラム不要、ボタン操作で誰でもグラフデータベースを体験!」をご紹介しました。
今回は、このWebアプリケーションを材料開発プロセスデータに適用した具体的な例をご紹介します。
アプリケーションのメリット
- データ登録が簡単:プログラム不要。GUI操作で誰でも直感的に入力可能
- 可視化に優れる:材料プロセスを一目で理解できる可視化が可能
- シンプルな操作性:慣れてないユーザでも直感的に基本操作が可能
使用したデータ
データセット名
各種フォトレジストL / S(ライン&スペース)のMLA150露光条件最適化
出典
Y. Furubayashi, “各種フォトレジストL / S (ライン&スペース)のMLA150露光条件最適化,” ARIM Dataset, JPMXP1222TU0157, データセットID. 43f8fa42-7b5f-48d3-83b3-cbac570bf1c2 (2024).
データの背景
このデータが取得された背景や詳細については、NIMS ARIM Japan 試験報告書をご参照ください。
このデータは、半導体製造や微細加工における工程条件と結果が記録されており、サンプルごとにExcel形式で提供され、複数のシートに分かれています。
このデータを当社のWebアプリケーションを使用して当社なりの解釈でneo4jに格納しました。
Neo4jへのデータ格納と可視化
図1は、Neo4jにデータを格納したデータを当社のWebアプリケーションで表示したものの説明図です。
データが、横5列に配列されて表示されています。
各列で表すものは、左から:
- Process(工程)
- Input material(工程で使用した原料)
- Output material(工程の後に生成された成果物)
- Measurement data(計測データおよび、計測装置の情報)
- Process equipment parameters(加工装置の設定値)
![MEMS_Data](https://iasys.jp/wp-content/uploads/2024/12/MEMS_Data.jpg)
図1.WebアプリケーションによるMEMS実験工程の可視化イメージ
各ノードには詳細情報が登録されており、例えば:
- Input material列のSiノードには、シリコン基板の詳細が登録されています(例: Main material:Si、Thickness_um:525、size_inchφ:4、Number of sheet:2)。
- Measurement data列のSEMノードには、計測データや写真ファイルのリンクが含まれています。写真ファイルは、BOXやAzure等のファイルストレージ、実験データは当社製のBRIX LITEに格納押されており、WebブラウザにはURLのリンクのみを取得しています。(図2参照)
これらのデータは、前回のブログで紹介したような簡単な操作で登録することができます。
ブログ「Neo4jを使った制作物事例。プログラム不要、ボタン操作で誰でもグラフデータベースを体験!」参照。
![ブログ:グラフアップ。東北大データ - 1](https://iasys.jp/wp-content/uploads/2024/12/ブログ:グラフアップ。東北大データ.jpg)
図2.BOXリンク登録とSEM写真データの表示
材料開発プロセスを直感的に理解できる階層表示
登録したデータは、ラベルごとに表示するときの階層(Level)を指定できます。
この機能を使用すると秩序無く乱立しているノードが、理解しやすい形で整理されて表示されます。 (図3参照)
図4が階層の設定画面です。
Sputtering(スパッタリング)やLithography(リゾグラフィ)は1階層、Substrate(基板)は2階層、Measuring_equipment(計測器)は4階層といったように階層を設定することができます。
![ブログ:グラフアップ。東北大データ - 3](https://iasys.jp/wp-content/uploads/2024/12/ブログ:グラフアップ。東北大データ-2.jpg)
図3.階層表示
![ブログ:グラフアップ。東北大データ (1)](https://iasys.jp/wp-content/uploads/2024/12/ブログ:グラフアップ。東北大データ-1.jpg)
図4.階層の設定画面
まとめ
研究者やエンジニアがノートやファイル、計測器のストレージに保存しているデータをグラフ型データベースに蓄積することで、データを視覚的にわかりやすく整理し、共有・活用できる環境を構築できます。この仕組みにより、「同じような実験が別の担当者によって繰り返される」、「過去に解決済みの課題に再度取り組む」といった非効率な状況を防ぐことが可能です。また、自身の実験データを正確に記録しておけば、必要なときに簡単に見返すことができるだけでなく、大量のデータから新たな知見を探索し、研究や開発をより効率的に進めることができます。