モデルと実験の融合
グローバルな競争や、多数のコントロールユニットの搭載による複雑化が今日の自動車開発の特徴です。OEMは品質、性能を落とすことなく、さらに年々厳しくなる規制条件をクリアし、タイムトゥマーケットを最小化させる方法をさがしています。その手法として、モデルベース開発(MBD)により、実機テストを最小化し、全体的な開発プロセスの効率を向上させる事が必要とされています。しかしながら、モデルベース開発での最大の挑戦点は、実験担当のエンジニアが取得した計測データをシミュレーション担当のエンジニアに渡す事です。その原因は、主に下記です。
・異なる種類のファイルフォーマットをどのように取り扱うか
・データを理解するために必要な緒言情報がついていない
IASYSが開発した統合プラットフォーム(製品名:BRIX)は、ASAM-ODS規格に基づいており、計測データ(例:時系列データ、クランクアングルデータ、周波数データ、ECUデータ 等)を緒言情報(例:試験対象のエンジン、試験名称 等)と供に保存する手段を提供します。ASAM-ODS規格は、計測データを、一様な形式でサーバに保存する事を可能にします。ASAM-ODSサーバに保存された実験データは、データソースに関係なく、標準APIによりアクセスが出来ます。さらに、BRIXは、Webブラウザから計測データに手軽にアクセスをすることが出来ます。ユーザーは、PCに特別なソフトウェアをインストールする事無く使用することが出来ます。このようなアプローチにより、計測データをシミュレーション側に渡すことが出来、モデルベース開発をシンプルにします。
実験側とシミュレーション側が近づくことは、製品の開発期間を短縮させます。一つの車両が、多くのグループや部署の関与により開発されている事は広く知られています。複数のグループが供に開発業務を進める時には、計測データを共有する必要性が出てきます。また、過去の計測データを活用する事で不必要なテストを省き工数を削減することが出来ます。BRIXはバリデーションプロセス全体の効率を向上させ、タイムトゥマーケットを大きく短縮させると考えます。
当社のBRIXの他の利点は、OSGi Webテクノロジーを使用し、モジュール化及び階層化された構造をしている点です。それにより、アプリケーションに柔軟性と拡張性をもたせることが出来、日々進化していくバリデーションプロセスにうまくフィットします。また、日々進化していくIT技術へも柔軟に対応することが出来ます。

左:Brixに接続し、実験データを取得してモデルを作成(Matlab)
右:Brixに接続し、モデルデータ(エンジン)を取得し、シミュレーション(Simlink)

実験とシミュレーションのデータ比較
※本資料は、2014年に海外の自動車情報誌に掲載された記事を和訳したものです。